FAXマガジン
目次は、ひねってひねって、またひねって
2005年、世界初の全編ケータイで書かれた長編小説「りはめより100倍恐ろしい」が第1回野生時代青春文学大賞を受賞した。作者は17歳の高校生、木堂椎(こどう・しい)君。さまざまな高校生の個性を描いた青春小説だった。
一方、ケータイ文学市場には、無料の長編小説が湯水のごとく提供されており、その中でも人気を博しているのは『切ナイ恋物語・恋空 前・後編』。読者は7月現在で800万人。女子中高生が読んでいるそうだ。
出版界は今まで、読者との文学性と専門知識の差異で儲けてきたが、その差はどんどん縮まっている。彼女らが出版マーケットの主力になったとき、案外、競合者は読者自身かもしれない。
7月5日〜8日までの4日間、東京ビッグサイトで、「第13回東京国際ブックフェア二〇〇六」が開かれました。毎年、国内・海外を問わず、各地の版元や書店さん、図書館、学校関係者など多数の方が来場し、即売会や商談の場として賑わいをみせます。
講演やセミナーも催されるなか、今回とくに目を引いたのが、アップルシード・エージェンシーという出版エージェントの会社で、代表取締役をされておられる鬼塚忠氏のセミナー「ベストセラーの作り方!〜1年間に10万部超のベストセラーを4冊出す〜」でした。
鬼塚氏の言葉でとくに印象に残ったのが、「売るためにはタイトルと目次をとことん練る」というものです。当たり前のことのようで、これがなかなか思うようにはいきません。タイトル付けに関しては、当マガジンの12号で、3月発売の『人生の踊り場を迎えた団塊の転職』を例に取り上げていますので、そちらをご覧頂くとして、今回はタイトルと同様に重要な「目次」についてご紹介します。
目次は、ある意味本文よりも重要といえます。あなたが書店で本を買うときにする一連の動作を思い出してみてください。タイトルやカバーに惹かれて本を手に取り、どんなことが書かれた本なのか、目次を見るはずです。なかには、著者のプロフィールや、まえがき、奥付(本の最後の頁にある発行データ)を先に見るという方もおられるでしょうが、目次をまったく見ずに本の購入を決める人はいないでしょう。
また、目次は本全体を俯瞰して見ることができ、本文のナビゲーターの役割を担っています。何章で構成されている本なのか、1章に何節、何項あるのか。そして、各項の見出しを見て興味が湧いたものが見つかれば、そこで初めて本文へ。どんな内容が書かれているのかを読みます。
目次の見出し付けは、編集者にとって最も大切な仕事と言い切る人もいます。面白い本なのに、見出しがつまらないものを見るともったいないなーと思います。堅い専門書は別として、論文のような見出しは論外です。なるべく分かり易く、興味の惹くような見出しを付けるには、タイトル同様、考えて考えて、ひねってひねって、を繰り返すしかありません。
当社の例を出しますと、前回の当マガジンでも紹介しました『だれも言わなかった!新会社法5つの罠と活用法』 では、〈序章 誰も語らなかった新会社法の真の目的を探る〉、〈新会社法が中小企業に仕掛ける「5つの罠(トラップ)」〉…。どうでしょう。思わず頁をめくってみたくなりませんか?