誰も言わなかった! 新会社法5つの罠と活用法
- 河合保弘+LLP経営360度 著
- 体裁:四六判・並製本・180頁
- 定価:1,650円(本体 1,500円+税 10%)
- ISBN 4883383350
- 発売日:2006年 03月
- 立ち読み
- パブリシティ
- 新聞広告
書籍の説明
新会社法は、ダメ中小・零細企業をつぶす!?
5月に施行される新会社法の本の多くは、法律的な解説本です。しかし、この本はタイトルどおり「だれも言わなかった!」「新会社法の5つの罠」と「活用法」を述べています。
「法律の改正」という観点のみで捉えるのではなく、本来の会社経営とは、常にその会社が取引先や金融機関、消費者などの外部からどのように見られているかを意識することが最も重要な視点です。
今回の新会社法制定の本当の目的とは、少子高齢化社会(人口減少社会)、すなわち「小さくなる日本」を見越し、「ダメな会社を振るい落とし、優良な会社だけを生き残らせていくことによって、会社の絶対数を減らして、日本経済を健全化する」ための仕掛けではないかという仮説をたてています。
新会社法の5つの罠とは?
本書では、中小・零細企業を襲う5つの罠を主要なテーマとしています。
罠1 定款自治
「定款なんて雛型通りに適当に作っときゃいいんでしょう?」
罠2 特例有限会社
「有限会社はそのまま放っておきゃ、カネもかからないよね」
罠3 株式会社の役員
「取締役1人・任期10年、これしかない!! 会計参与になる人なんて絶対いないよ」
罠4 種類株式
「それって大企業の乗っ取りを防ぐ道具なんでしょう?」
罠5 1円株式会社
「どんどん作ろう1円会社!! 税金はお得で有限責任」
このようなトラップにはまっている中小・零細企業経営者に警鐘を鳴らしています。
生き残るための5つの活用法
では、この5つの罠を逆手にとって、「生き残りツール」として活用する方法は何か。
活用法1 定款自治
「誰に見せても恥ずかしくない『戦略と理念』の定款を作る!」
活用法2 特例有限会社
「目先のカネよりも『将来設計』を目指す12の選択肢!」
活用法3 株式会社の役員
「誰のための会社? 何のための役員? 正しい『危機管理』の手法!」
活用法4 種類株式
「『ウィン・ウィン』の関係を創り上げるための戦略的活用法!」
罠5 1円株式会社
「株式会社だけが能じゃない!『正しい創業・企業』を!」
新会社法の経営戦略的な使い方を知って、「勝ち組」になろう!
本書の主張は、新会社法は一見単なる「法律の改正」と見せかけながら、実はその無味乾燥な内容の中に、ひそかに「負け組」を判別するための「罠(トラップ)」を仕掛け、そして一方では「勝ち組」を正しく生き残らせるための「ツール」を隠している、という仮説を立てたことは既に述べました。
そのため、本書は、新会社法自体の説明は極力避けて、むしろ「新会社法の本質」「新会社法の経営戦略的な使い方」を中心に述べています。
新会社法を使うも使わないもすべて「選択肢」です。しかし、原点に還って「法律の意味・意義」を十分に考え、かつ「法律を活かす」会社経営をしようというのが本書の主張です。
目次
- はじめに
- 新会社法と中小企業、その本当の関係と経営への影響を考える
- 中小企業は選別の時代へ!新会社法を単なる「法律の改正」と甘く見てはいけない!
- 序章
- 誰も語らなかった新会社法の真の目的を探る
- 商法の大逆襲?「振るい落とし」はすでに始まっている…
- ●コラム「危機管理」の考え方/河合保弘
- 第一章 新会社法が中小企業に仕掛ける「5つの罠(トラップ)」
- 新会社法が中小企業に仕掛ける「5つの罠(トラップ)」
- ◎アクションを起こす会社と何もしない会社が明暗を分ける?/河合保弘
- [1] 「定款自治」ってどういう意味?《新会社法第1のトラップ》/高木啓次・中村昌弘・井手園子
- [2] 「有限会社」本当はどうすればいいの?《新会社法第2のトラップ》/MESS
- [3] 「機関設計」って何のこと?《新会社法第3のトラップ》/内園陽人・瀧田安恵
- [4] 中小企業でこそ生きる!「種類株式」《新会社法第4のトラップ》/岩田大・大古田定巳・中村勧
- [5] 「1円会社」をどんどん作ればいいの?《新会社法第5のトラップ》/猪之鼻久美子・祐田真由美・石田真琴
- ●コラム「有限責任」は本当に意味があるのか?/河合保弘
- 第二章 新会社法が用意した「生き残りツール」の活用法
- 新会社法に秘められた、未来を予言するキーワードを読み取るために
- ◎目先のカネを惜しむ会社と明るい未来を目指す会社とはどう差が付く?/河合保弘
- ●コラム 覚えていますか平成8年・予測できますか平成28年/渡部克彦
- [1] LLC(合同会社)の本当の意味と活用法《新会社法第1のツール》/伊藤大輔
- [2] LLP(有限責任事業組合)の本当の意味と活用法《新会社法第2のツール》/佐々木聡史
- [3] 決算公告制度と会計参与の逆説的活用法《新会社法第3のツール》/杉谷範子
- [4] 組織変更・組織再編の積極的活用法《新会社法第4のツール》/伊藤大輔
- [5] 中小企業のコンプライアンスとコーポレート・ガバナンスを考える
- (法律制度のインセンティブとしての活用法)《新会社法第5のツール》/杉谷範子・中村昌弘・井手園子
- ●コラム 中小企業の金融を変える? コールオプションとプットオプション/大古田定巳
- 第三章 新会社法時代の事業形態・12の選択肢
- ◎人生いろいろ・事業形態もいろいろ
- 会社組織だけがすべてじゃない、身の丈に合った組織のみが生き残る多様化時代に突入!/河合保弘
- ●コラム 「株式公開」は本当に究極の目標なのか?/河合保弘
- 1-1 株式会社(大きくなりたい会社)/鈴木健彦
- 1-2 株式会社(ずっと同族経営のままの会社)/鈴木健彦
- 2 有限会社(あえて「特例有限会社」を選択するべき会社)/河合保弘
- 3 LLC(合同会社)/伊藤大輔
- 4 合名会社・合資会社/伊藤大輔
- 5 LLP(有限責任事業組合)/上山奉伯
- 6 企業組合・中小企業等事業協同組合/高木啓次
- 7 NPO・中間法人など/中谷優子
- 8 民法上の任意組合(個人的共同事業)/放生知晃
- 9 個人事業/放生知晃
- 10 M&AやMBOによる事業縮小・一部事業廃止/放生知晃
- 11 合理的事業撤退・積極的解散/放生知晃
- 12 倒産・私的整理・法的整理など/放生知晃
- ●コラム 法律と実際のグレーゾーンの数々/新保善浩
- 第四章 新会社法をフル活用するために
- ◎中小企業経営の重要課題「経営承継」/河合保弘
- ◎新会社法時代の経営承継を考える
- 新会社法をフル活用した中小企業の正しい「経営承継」術/鈴木健彦
- ●コラム 日本最古の会社が名誉ある撤退~去り行くべき会社の正しい最期を考える~/渡部克彦
- ●コラム 「経営理念」の表し方(本当の意味での「定款自治」「就業規則自治」を考える)/渡部克彦
- 付録1/(株)徳川太平記/瀧田安恵
- ●司法書士による全国LLP「LLP経営360度」結成の理由
- 目を覚ませ専門家! こんなレベルでは社会的信用は限りなくゼロに近づく!?/渡部克彦・鈴木健彦
- 資料編
- 1 有限会社がなくなる/祐田真由美
- 2 株式会社が簡単に作れるようになる/天谷暁子
- 3 いろいろな「種類株式」が使えるようになる/天谷暁子
- 4 株式会社の役員は1人、任期は10年で良くなる/井手園子
- 5 会計参与制度ができる/杉谷範子
- 6 日本版LLCとLLPが作れるようになる/松本美香
- おわりに
- 生き残り対策はできましたか?
- 新会社法・使うも使わないもすべて「選択肢」です
- 団体紹介・執筆者紹介
- 索引/新保善浩
- 付録2/「会社の運命」選択シート/河合保弘・渡部克彦
著者略歴
河合 保弘(かわい・やすひろ)
司法書士・社会保険労務士 LLP経営360度組合員
企業再建コンサルタント協同組合 常務理事
相続・経営承継コンサルタント協同組合 監事
中小企業総務部、医療法人理事などの職歴を経て、1996年より大阪市にて、同職の長田弘子と共に長田・河合市民法務総合事務所を開設。企業経営に関する独自の理論を立て、中小・零細企業に特化した企業再建・経営継承・経営改善・創業支援などの「企業支援業務」に取り組むと同時に、各種組織の結成に積極参加、人材育成にも注力している。
主要著書:「会社の継ぎ方つぶしかた」(日経BP出版社)
「銀行員のための新会社法」(銀行研修社)
LLP経営360度
ここ数年の間に、関東・中部・近畿・九州2カ所の合計5地区で結成された「企業支援業務」を行う若手司法書士グループの連合体として、各グループの中核人材23名が結集し、2006年2月に結成。司法書士業務以外の各種コンサルティング業務の協同受託や出版・セミナー開催・調査研究・全国組織の連絡調整等を目的としている。LLPとしては異例の多数の組合員を擁し、かつ全国的な活動を行う専門家組織として、早くも各方面からの注目を集めている。