• 2009年度新卒採用のご案内
  • 社史の泉
  • 社史制作のレベルアップ 社史編集室
  • アーカイブサービス
  • リリーブ
 

FAXマガジン

 
第12号

タイトル付けは重要です!

最近、書店の棚で良く見かけるようになったキーワードがあります。「脳を鍛える」というものです。

ブームの火付け役はご存知、東北大学・川島隆太教授の携帯ゲーム機用ソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」。簡単な計算や文章を音読して、自分の脳年齢をチェックするもの。このヒットを受け、出版界でも「脳」ブームが到来中。川島氏の著書だけでも百冊ほど出版されています。ヒットの背景には、「団塊の世代」をはじめとした中高年の存在が挙げられるようです。

ゲーム性の面白さだけではなく、「若い=価値のあること」と考える日本人の消費心理をうまく利用したものといえるかも知れません。

さて今回は、今年三月に発売した『人生の踊り場を迎えた団塊の転職』 という本について、ご紹介します。

来年、いわゆる「団塊の世代」が定年退職という新たな転機を迎えます。現実には、今年から早期退職等で人材の流動が始まっており、最近では、「団塊の世代」の定年延長や、新たな生き方について、新聞や雑誌の特集で数多く取り上げられています。

本書は、「団塊の世代」を中心とした転職を考える中高年に対し、【団塊の世代の転職】はどう考えるべきか、どうすればうまく行くのか、といった転職成功の秘訣をまとめたものです。

著者は、そごう神戸店で最後の店長だった高橋貞夫さん。阪神・淡路大震災の復興から、倒産、退職、そして転職といった自らの経験を活かした人生論的な内容になっており「人生には踊り場が必要。そこで、これからの自分に何ができるのかを考えてほしい」と本書をまとめられました。

高橋さんにお会いしたのが、昨年十二月。メルマガで連載中の原稿をもとに、本を出版したいとのお話を頂きました。原稿を拝見すると、少し再構成や手直しの必要はあるものの、十分本になる素材で、高橋さんと何度かキャッチボールをしながら、原稿の完成度を高めていく作業を繰り返しました。

本書で高橋さんが一番気にされたのは、タイトルと装丁デザインでした。最近の本は「タイトル」の付け方と「装丁デザイン」の善し悪しで、ずいぶんと売れ行きに影響が出てきます。

高橋さんからの要望は2つ。ひとつはタイトルに「踊り場」と入れること。もうひとつは、装丁に赤を使うことでした。難産だったのがタイトル。当初、本書に付けられていた仮タイトルは「踊り場力」。インパクトはあるが、これだけではどういう本なのかさっぱりわからない。読者層がはっきりせず、手にとってもらえないだろうということになり、より売れるタイトルにと知恵を絞りました。

候補に上がったタイトル案はおよそ50。千本ノックのようにタイトルを考えました。例えば、1.踊り場力で50歳からの生き方を磨く、2.団塊シニアの転職で失敗しない60の知恵、など。最終的には、「人生の踊り場を迎えた団塊シニアの転職力」という案を基に、「シニア」と「力」を取って今のこのタイトルに落ち着いたのです。

ビジネス書で有益な情報を発信したい場合、本の価値は当然その中身で決まります。しかし、まずは書店で手に取ってもらわなければなりません。想定読者が、そのとき抱える問題意識と合致する、思わず手が伸びるようなタイトル付けが求められているのです。