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自費出版が国連環境計画(UNEP)の賞をとるまで
坪田愛華さんは、1979年生まれなので、生きておられたら27歳。
きっと環境保護関係で活躍する立派なビジネスパーソンになっておられたことでしょう。
『地球の秘密』は、愛華さんが小学校6年生のときに描いた環境童話で、12月25日、書き上げたその翌日の深夜に、クモ膜下出血でなくなりました。
ご両親は、命を削って書き上げたその絵本を、愛華さんの遺志を活かすために、数百部自費出版をして島根県の学校に配りました。
その本を手に入れられた現・澄田信義島根県知事は、内容の素晴らしさに感動し、1992年にブラジルのリオで開催された環境サミットで紹介しました。
それを見た参加者の評判を呼び、93年6月には、
世界で環境問題に著しい貢献のあった人に贈られる「国連グローバル500賞」を受賞。
前後して、英語、アラビア語(翻訳は現環境大臣の小池百合子氏)、中国語、フランス語、モンゴル語・・・など、
11カ国語に翻訳されて、世界を駆けめぐりました。
日本では、テレビで何度も愛華さんの特集番組が放映され、ビデオやDVDにもなったので、ご存じの方もおられると思います。
昨年の愛・地球博では島根県デーにエキスポドームで3,000名の聴衆を集めて「地球の秘密」という名で演じられました。
主人公の愛華さんが、子供たちと協力して環境悪魔(澄田信義氏役)をやっつけるという、演劇にもつながってまいりました。
ご両親曰く、「あの子は、この本を描くために天から使わされた子供だったんです」汚れのない、子供独自の眼を通して、地球の誕生から今日までの歩みを描いた作品の素晴らしさもさることながら、ご両親の娘を尊ぶお心が、ここまでの実績を築いたのだろうと思います。
いまでは上製本になって、巻末に愛華さんの半生記も加え、弊社の刊行物として環境関係出版物の中核を担っております。