FAXマガジン
取材のうまい、へたは話術と情報力がカギ!
TV、ラジオ、新聞、広告、雑誌、単行本と、マスコミ媒体は様々ですが、制作過程で基盤となるのは「取材」です。それと、「取材」と一言でいっても、媒体によってはやり方やテクニックはいろいろあります。
今はインターネットが大幅に普及して、かつてのように自分の足や人脈だけで情報収集する時代は終わりましたが、リアルかつ、自分だけのネタを集めるには、「人」からの情報が必要不可欠です。
今回は、上手に人から話を聞き出すテクニックややり方について考えてみました。取材の手法ひとつで、その商品の鮮度が関わりますので、ぜひ参考にしてください。
私には、プロ野球球団の外国人選手の通訳をやっている友人がいます。
彼の仕事というのは、チームメイトや球団関係、記者などの言葉の橋渡しをするのがメインですが、時には彼らの生活や家族のフォローもするようです。
その仕事のなかで、担当の選手が記者から取材を受ける際、彼は通訳するものとしないものがあると言います。
通訳するものというのは、その選手を持ち上げてくれるもの、つまり彼を“ヒーロー”にしてくれる内容です。
例えば、担当している選手がその試合を決定付けるホームランを打ったとします。その日の試合を決定付けたわけですから、お立ち台でヒーローインタビューを受けることになります。その時、インタビュアーが「試合を決定付けた完璧なホームランでしたね」と言ったとします。これだと、見たものそのものをストレートに表現した形になっています。
それでは、こういう投げ方はいかがでしょう。「試合を決定付ける完璧なホームランでしたね。飛距離もグングン伸びて、最高のひと振りだったんじゃないですか?」。
この投げ方だと、試合を決定付けるホームランを打ったスゴさと同時に、彼が筋力トレーニングをここ最近ずっと頑張っている姿を見ていたということを伝えられます。
ここでのポイントは、情報収集力と話術です。情報収集力は、先輩からノウハウを学べますが、質や量は自分の足で稼ぐものなので、個人差が出てきます。
一方、話術は、意識と事前の準備さえしておけば、実践を重ねるごとに、成果が必ず出るハズです。
相手に良い印象を与えられる取材トークのコツは、まず取材者が聞き上手であること。そして、相手が笑顔になれる話題からふれ、深い質問へ入る。あとは、相手をリラックスさせるための笑顔づくり、的を得ている質問を投げかけられるか、どうかという点です。それと、プラスして重要なのは情報収集力です。これさえマスターできれば、取材に限らず、いろんなビジネスシーンで活用できるのではないでしょうか。
『論語』のなかに、「己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す」という一文があります。意味は「自分が立ちたいと思ったら、まず人を立たせてやる。自分が手に入れたいと思ったら、まずは人に得させてやる」。
孔子がここで語っていることと同じく、自分も人間なら、相手も人間。言葉や表現ひとつで、信頼関係も深まるのではないでしょうか。
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