FAXマガジン
著者としても注目したい 中国出版業界の躍進
タイトルが決め手!
米国の出版業界週刊誌パブリシャーズ・ウィークリーによると、いま世界でもっとも勢いのある出版業界は中国だと言われています。国から許可を受けている出版社は、わずか516社(前後)で、それらが学校で使う教科書からビジネス書や事典まですべての出版物を発行しているのですから、さもありなん。
国内にいる13億人と外国にいると言われる中国語を話す約1億の人たちの多くをまかなっているわけですから、1社あたりの売上は莫大です。しかも、言論統制がゆるんできている中国ですから、書籍の企画も多様化を増し、いま、世界の書店規模上位10店のうち、中国が8店を占めるというマーケットの躍進ぶりは、目を見張るばかりです。
この中国に、どのようにくみするか。それは今後、日本の著者にとっても一考の価値ありです。
中国のマーケットを攻略して有効なのは、何をおいても、中国ビジネスに進出している企業やコンサルタント。
中国で著書を出版されると、その本を読んだ消費者へのアピールができること。次に、日中間でコンサルタントをしている会社や個人は、その経験、技術を本にすることで、それを読んだ企業が、顧客になる可能性があります。
この点は日本の業界と同じで、やはり本を出版するという行為そのものが専門家としての評価につながります。
当社で2004年に中国の出版社に版権を販売した『売れる売り場はこうつくる』は、国内で約4万部売れていた本で、当社でこれは中国でも売れる、と目をつけて売り込んだところ、すぐに出版が決まりました。
発売して間もなく、「著者の講演会を北京で開きたい」という要望が版元から寄せられて著者にご出講いただいたのが2005年の夏。評判が良くて昨2006年夏にも、同じテーマで開催して、好評を博しました。
このセミナーの企画費と講師の紹介料を当社の国際部門でいただいたわけですが、著者に対しては、往復交通費はもちろん、2泊3日の宿泊費、通訳費、講演謝礼。そして、その講演にはアシスタント同伴、という特典までついていましたから、中国の版元の自信のほどが伺えます。
中国のビジネス書の平均定価は250円ほどですから日本の約6分の1。平均的な翻訳出版権印税は、定価の7%ですから、1冊17・5円。1万部売っても17万5千円にしかなりません。
しかも、ビジネス書の平均初版部数は、実は日本と変わらない6千冊ぐらいからスタートするので、翻訳出版されること自体で、利益がでる、ということではありません。
あくまでも、中国で出版されることによって、その書籍が肩書きになり中国で専門家として認知され、自身の仕事や評価につながることが大事なわけです。
そのような事を考えて、当社に中国での出版を打診してこられる会社、個人は後を絶ちません。
まずは、日本で企画を成立させる。これが大事ではありますが、同時に、今後は韓国や台湾、そして中国という市場も視野に入れて企画を開発する時代になってきているといえます。
ビジネスのみならず、文芸でも同じです。いまも続く共産党の言論統制によって作家が育たなかったため、活字に飢えてきた中国の若者には日本の若者向けの文芸書が大流行しています。
今後、目を離せない市場として注目していただきたいと思います。