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FAXマガジン

 
第28号

ピークを迎えつつある新書ブームの歴史

扶桑社が2月28日、アスキーが3月13日に新書へ参入した。扶桑社の新書創刊は7点でスタート。内5点は「SPA!」の執筆陣。人気特集で書き込めなかった内容を掘り下げ新書にするらしい。まさに、今の新書は雑誌づくりに似ていると言われているのを地でゆくような話しだ。

アスキーは創立30周年企画としての創刊。元サッカー日本代表監督のトルシエをはじめ、K1イベントプロデューサーや大学教授を揃えての9点でスタート。

2005年の新書の種類は148種、1853点が発刊されている。乱立林立、過当競争。新書バブル崩壊近し。

ご存じの方も多いが、新書の歴史は1938年からの岩波書店から始まる。古典の岩波文庫に対し、岩波新書は書き下ろし中心で「現代人の現代的教養を目的」として創刊された。 今売れているのも教養系新書という点では同じ流れだが、今は「知的好奇心」という言葉の方がぴったりくる。教養新書だけでも30程シリーズがある。ちなみに、61年中公新書、64年講談社現代新書創刊。この三つは「新書御三家」と呼ばれている。

新書の第1次ブームは、54年から55年。多くの新書が出版された。きっかけは、54年に発行された伊藤整の『女性に関する十二章』(中央公論社)。伊藤整は『チャタレイ夫人の恋人』を翻訳して、刑法175条の猥褻物頒布罪に問われ裁判中という話題の人だった。ちなみに今回の新書ブームに火をつけたのは養老孟司の『バカの壁』(新潮新書、03年)。2002年までは上位30位に入る新書はなかったそうだ。

さて第1次ブームは、54年10月に光文社から創刊された『カッパブックス』が主役。教養中心の岩波文庫に対して、編集者主導の創作出版だった。つまり岩波はエライ大学の先生に執筆してもらったが、光文社は編集者が何が当たるかを企画し、ふさわしい著者を探し書いてもらうというもの。新書をマスプロ文化の寵児に仕立て上げ、手軽な読み捨て本のイメージを創り上げたのはこのカッパブックスだと言われている。

文庫本・新書本は軽装本と呼ばれるが、そのメリットは二つ。ひとつはハンディで親しみやすいこと。もう一つは他の出版に比べて廉価であること。これは今も変わらない。

今の新書は、大体700円位で、200頁前後、約数時間で読み切れる。そして書き下ろしが原則。新書は、もともと初版部数がある程度見込めないとソロバンが合わない。

初版7千部から1万部くらい。大量部数を確保し流通が安定している大手出版社が資本力と組織力にものをいわせてつくるのが新書である。弱小出版社では書店の棚を確保し続けることはできないはずだ。

話しはもどるが、第2次ブームは50年代半ば、第3次は80年前後と言われている。

新書御三家のアカデミズムの流れをライトな教養へと変化させたのは平成10年の文春新書。これを機に教養新書となり、今の第4次ブーム?が続く。現在のブームの主役は、新潮社、光文社、筑摩書房の3社で“新御三家”と呼ぶそうだ。

さて、問題。「下流社会を見下すバカで、見た目が9割の品格で進化しないのになぜできる人は潰れないのか?」何冊ヒット新書があるでしょう。