FAXマガジン
改めて、本を出版する意義を考える
最近書店でよく見かけるのが、米マイクロソフト(MS)が1月末に発売した「ウィンドウズ・ビスタ」関連本です。 各出版社から40冊程度出ているようで、大手書店は、専門コーナーを設けるなどPRに余念がありません。
しかし、ビスタ発売後一週間の売上本数は「ウィンドウズXP」の半分にも満たない(市場調査会社NPD)という分析結果が示す通り、今のところ関連本の売上は低調のようです。
日本の消費者が中心となったMSバッシングで、XPのサポート期間が2014年まで延長になり、個人、企業のビスタ導入はまだまだ先といった様子から、関連本の売上も夏のボーナス商戦以降になるとの見方が大勢のようです。
これまで、このFAXマガジン誌上で繰り返し述べてきたことは、「出版の裾野を拡げる」ことです。出版に関する疑問や誤解を少しでも取り除き、出版への関心をもってもらうことで、より多くの人に本を出してもらいたい。そういう願いを込めて、FAXマガジンはスタートしました。
そこで今回は、改めて「本を出す意義とは?」について考えてみたいと思います。
私たちが、著者と接する際に必ず確認することは、「なぜあなたは本を出版したいのですか?」という点です。出版するか否かの判断基準として、原稿の質が最優先であることは間違いないのですが、出版動機によって、その基準は大きく変わってきます。
出版動機は、おおよそ次のようなものでしょう。
1.自分の考えや活動を知らせたい、広めたい
自分が実践していること、発見したことを多くの人に知らせて、読んだ人が得したり、元気になったり、感動したりして、著者の考えに賛同してくれる味方が増えたりする。
2.社会正義を実現したい
社会制度の矛盾や、悪事の告発、弱者の救済など、その本を出すことにより社会に貢献する。
3.有名になりたい
TVやラジオに出演したり、新聞・雑誌に載ったりすれば、世間に認知されるとともに人脈も増える。自営業の人であれば、本業の収入が増えたり、講演やセミナーの依頼が来たり、既に開講している人であれば、講演料アップも見込める。
4.金銭を得たい
著作権使用料(印税)の収入があり、当たれば大きな稼ぎになる。
5.企業のブランディングをしたい
どこにも負けないオンリーワンの商売を知ってもらったり、個性的な社長を売り出したりして企業の広報に役立てたり、競争力を高めたりする。
こうした出版動機を明確にすることで、読者ターゲットは絞られ、より研ぎ澄まされた企画が生まれるとともに、本を出す意義も見えてくるはずです。
出版で得られる対価は人それぞれ。一度、自分の考えをきちんとまとめてみてはいかがでしょうか。