FAXマガジン
企画のコンセプトと書籍の体裁
とかく組織が巨大化すると様々なひずみが生じるもの。直近でいえばお菓子のF社が良い例ではないでしょうか?
問題が起きればそれを論うだけの組織だからこそ、あのような隠蔽体質となったのでしょう。もちろん会社が社員に明確なヴィジョン(目標)を示さなかったことも、モラルが低下し、ひいてはあのような事件につながったのではないでしょうか?
現在弊社では、組織の「目標」を決定し素早く実現する方法論「YS法」に関する書籍を編集・制作中ですが、企画内容にふさわしい書籍とするために、四苦八苦しております。
これまで数多くの超一流企業をコンサルティングしてきた矢矧晴一郎氏は「YS法」という目標決定&実現法を開発しました。一番大きな目標を真っ先に決め、その大目標を細分化していくのです。細分化された小目標には、それぞれ達成可能性と重要度を付けます。そのどちらもが高いものから実行していくと、自ずと大目標の実現に近づくという理論です。目標の実現方法まで提示されるところが他の目標(意思)決定法とは大きく異なるところです。
実はこの意思決定法を、弊社が書籍として発刊することになりました。これまでYS法は、矢矧氏のコンサルティングの根幹の理論だったため、決して公開されることはありませんでした。それだけに、これまで15〇冊以上のビジネス書を発行してきた同氏にとっても特別な作品なのです。一般のビジネス書と同様というわけに参りません。
まずは価格を1万円前後に設定しました。15〇〇円程度のビジネス書が多い中で、正直高いと思われるかも知れません。ですがこの書籍の読者は経営者、経営幹部など、経営の根幹に携わる方々です。絶対数は決して多くはありませんが、読み手にとって必要不可欠な情報が織り込まれていますので、決して高くはないはずです。
それからコンセプトに見合った原稿とレイアウトが要求されます。冗長的になりがちな原稿は端的に表現する。安いビジネス書に見られがちな無駄な飾り立てはしない。極力シンプルに。それでいて見やすさには十分に配慮しなくてはなりません。
タイトルも然りです。昨今、タイトル買いをする読者が増えている中、一般的なビジネス書にありがちなキャッチーなフレーズを織り込まず、中身を端的に表したシンプルなものでなくてはなりません。選択肢はさすがに限られました。結局『組織目標達成の黄金律「YS法」』となりました。
装丁も当然ながら格調高く、重厚感を演出しなくてはなりません。イラストなどを使うのはもってのほかでしょう。文字だけでシンプルに。当然ハードカバーで高級感を出さなくてはなりません。
このように企画コンセプトによって、書籍の体裁は大幅に変わってくるのです。いわゆるこれが編集という仕事です。もちろん原稿が無くては始まらないのですが、企画コンセプトをもとに、編集という手が加わって初めて書籍となるのです。