FAXマガジン
版元をうならせる講演会での販売手法
講演会で本を売るのが上手な著者、というのはおられるんですよね。
ちょっと古い話ですが、森朱美さん。65歳でエッセイを出版されたのが、いまから20年ほど前。もと宝塚女優で、卒業後は旧そごうのファッションアドバイザーをしながら子供3人を育てた、という方です。
キャリアから想像できるように、人を惹きつけるのがうまい!
高齢になっても往時の美貌が目に浮かぶような端正さ、そして舞台の上と百貨店でお客向けに練り上げられたトーク、ジェスチャー。講演を聴いていると、自社の出版物でも買いたくなる説得力で、聴講者の8割強が講演終了後に、本を買っていました。
時代は近づいて、弊社の著者・国吉拡さん。
ブリングアップという販売コンサルタント会社の代表で、この方の場合は森さんと違って、嵐の中にいるような講演模様。
「なぜ売れないのか、いかにすれば売れるのか」を徹底的に聴講者に詰める話法は、迫力満点です。
販売の専門家なので、ご自身の本を売るのはおてのもの。終了後には90%以上の方が買われます。有名・無名を問わず、様々な著者の講演会に出てきましたが、このお二人が双璧でした。
では、ここで版元をうならせるその手法を、客観分析でご紹介。
1.講演会の前に、来場者の7割程度の数の本にあらかじめサインを入れておき、これらは会場内に並べて、講演前、中休みの時に、早帰りする人をとらえる。
2.来場者の入室前に本は目立つところに並べておき、聴講者にどこで売っているかがわかるようにしておく。
3.領収書を用意し、会社経費で本が買えることを聴講者にわかるようにしておく。
4.講演中、最初と中盤と終了前の3回、本の内容から引用した話を出す。
5.その都度「詳しくは本に載っています」という締めをしておく。
6.上記の時に、本を顔の位置に上げて、聴講者に本の姿が見えるようにする。
7.多少の誇張であっても「よく売れている」ことをアピールする。
8.講演後に、残りの本にサインをしながら、1冊ずつ手渡す。
9.自分の名前を入れてほしいというお客にも面倒がらずに対応する。
これらの販売技術は、講演内容がよい、ことの上に築かれるので、その点は大事ですが、そんなこと恥ずかしくてできない、と言われる著者は置いていかれる時代がやってきています。
ちなみに、森さんの『夕映えのつぶやき』は6刷2万2千部、国吉さんは3刷7千部へと発行部数が伸びています。