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FAXマガジン

 
第19号

07年問題の出版業界

9月に作家が加盟する文芸家協会を筆頭に、音楽や映像等のコンテンツ制作者が集まった創作者団体協議会が発足した。

著作権の死後保護期間を50年から70年へと延長させるための組織だ。

欧米は70年、アジアでは50年が多い。世界的には半々の勢力だが、徐々に70年保護期間を採る国が増えている。

わが出版界はというと、著作権をビジネスに利用する側なので、実は消極的。作家への面従腹背が続いている。

活字離れが叫ばれて久しい。特に、団塊世代が退職する07年を皮切りに、出版業界は大きなチャンスと「終わりの始まり」を迎えるのではないか、という予測があります。

大きなチャンスとは、団塊世代が退職することで、時間とお金に余裕のある層が生まれ、それが趣味へと向かう。趣味の筆頭は旅行とわかっているが、読書にも向いてくるはずだ。特に趣味を深める高額書籍の企画には千載一遇のチャンスという楽観論です。

逆に、彼らの目が読書に向かなくなってくる65歳を超えたとき、小さな活字を追うより、視聴覚機器に向かうだろう。機器を使った映像や情報に媒体が移り、印刷書籍で食ってきた出版業界は一気に干上がるのではないか、という楽観期のあとに来る悲観論です。

確かに団塊世代は活字世代。いま、彼、彼女たちに支えられている市場は大きい。それが7、8年後から読者を引退すると考えると、背筋が寒くなってきます。

アメリカでもそういう心配をしている人たちがいて、活発にオーディオブック企画が開発されています。読むから聴くへ。車社会のアメリカではカーオーディオにアイポッドがつながって、こちらの需要が飛躍的に伸びています。

米国出版業界のジャーナリスト・ゴールドステイン氏は強気の出版業界論を展開しています。

「まったく心配ない。だって、本を書きたい作家が大量にいて、かつ新しい人材の供給が引きもなしにある。「何を書いて売るか」を教えるライターズ市場は年々伸びており、こういう人達が大量にいる限り、その心配はない」と豪語します。

続いて彼は本を出版したい人たちのために、執筆の要点を出版業界誌『パブリシャーズ・ウィークリー』に発表しています。

読め:会話をどう書いたらいいのか、悩んだらヘンリー・グリーンを読め。教材は書店、図書館にあふれている。
飛べ:抽象的な概念から抜け出して、キーボードに迎え
書け:作家の壁とか、精神の混乱だとか、自分の買いかぶりもいいところだ。
信じろ:最初の動機がすべてだ。
座れ:座って机に向かわないと何も始まらない。
笑え:セックスシーンを書くなら、ある人は素直さ、ある人は思量分別を尊ぶ。私は笑いながら書くんだ。

う〜ん、確かに傾聴の価値有りですが、ここまで強気になれるのは人口が3億人へと近づいた人口増加国家だからでしょうか。