FAXマガジン
パブリシティで書籍を効果的にPRする
男性誌LEONと女性誌NIKITAを生んだ岸田一郎氏が先月、主婦と生活社を退職した。
「ちょいワルオヤジ」などのブームを作った名物編集長で、ご存知の方も多いのでは。「売上部数」ではなく、「広告収入」による雑誌ビジネスモデルの先鞭をつけた点でも知られており、両雑誌の広告収入だけで年間約二十億円を稼ぐという。
その岸田氏が、LEON創刊五周年を機に退職。今後は、出版物とウェブを中心にした新会社を設立する。
衰える気配がないLEONに見切りをつけ、出版+ウェブという新たな分野に挑む岸田氏の動向に、同業者としても目が離せません。
今回は、新刊発売に合わせて行う効果的なPR方法のひとつ、「パブリシティ」についてご紹介します。
パブリシティは、新聞や雑誌、テレビ、ラジオといったマスコミ媒体に働きかけて、商品やサービスを、記事やニュースとして紹介してもらう方法です。
商品やサービスを、広く世の中に知ってもらうために仕掛ける「広告」。広告を打つことで、問い合わせが増えたり、販売促進につながったりして売上が上がります。ところが、当たり前のことですが、広告を打つには費用が掛かります。掛けた費用に対してどれだけの効果があったのか、といった費用対効果も考えなくてはなりませんし、できるだけ公平で客観的な視点を盛り込まなければ、消費者の信頼は得られません。
その点、パブリシティは、第一に費用がかからない、第二に公共性・信頼性が確保できる、といったメリットがあります。取り上げられたときの効果は大きく、時には、新聞広告などの効果をしのぐ場合もあります。
一方で、取り上げてくれるかどうかはマスコミ側に決定権があり、魅力的な商品やサービスでなければ掲載してもらえません。話題性や、その時々の媒体の企画に合致するか、といったことにも左右され、掲載されるためには、それなりの仕掛けが必要になってきます。
弊社の場合、まずは新刊の内容に合わせて、約百社のマスコミ媒体を選定。本のカバー写真と、リリース資料とともに本を献本します。 媒体選びは重要で、必ずしもメジャーなマスコミである必要はなく、かえって業界紙誌に掲載されたほうが反応がいい場合もあります。 その後、媒体担当者に連絡を取って掲載の働きかけをします。担当者とは、普段からコミュニケーションを取っていないと、いざというときに力にはなってくれません。
リリース資料にもひと工夫が必要です。忙しい担当者が、短い時間で内容が理解できるよう、紹介記事も端的に結論から書きます。なるべく加工せずに、そのままの形で記事やニュースに使えるようにまとめておくのです。
新刊ではありませんが、最近、弊社の『家事する男の作り方』という本の著者である百世瑛衣子さんが、日本テレビ系列のバラエティー番組「伊東家の食卓」に出演しました。女子プロレスのジャガー横田さんの夫に、家事をさせるという企画で、放送終了後から注文が入り、順調に売上を伸ばしています。改めて、パブリシティの絶大な効果を実感した実例です。