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FAXマガジン

 
第16号

ベストセラー著者から学んだこと

高校野球が終わると、なんとなく「夏が終わったなあ」って感じます。残暑厳しいですが、もうすぐ秋です。

秋と言えば、味覚や温泉など、楽しい遊びはたくさんありますが、やっぱり「読書の秋」でしょう。しっとりとした気分で、お茶でも飲みながら、ゆっくり読書を楽しむのもいいものです。

また、出版各社も秋から年末にかけては、続々と新刊を出してくる時期でもあります。その中から新たな「ベストセラー」が誕生するのでしょうか?

今回は、私自身がそのベストセラーを生み出した著者から感じ取った共通点について紹介します。

弊社では、月刊『リリーブ』というビジネス誌を編集しています。そのなかの企画で「著者が語る話題の本」という連載を私が取材・執筆しています。

その概要は、書籍ベストセラーランキング上位に入っている著書について、著者自身に様々なことを語ってもらうという企画です。

この企画でこれまで何人か取材したのですが、みな個性的な人ばかりで、話を伺うたびに、何か共通点があるように感じられました。

まずひとつは、「話し上手」であるということ。頭の中の引き出しが整理整頓されているかのように、私の質問に対して、的確に、ていねいに話してくれます。また、時間配分も抜群で、決して同じ事を繰り返したり、大きく横道にズレることもありません。時間を大切に、人と接することを大事にしていることの現われだと思います。その延長線上に、豊富な人脈があるのだと、感じました。

もうひとつは、勉強家であること。編集の仕事をしていると、多くの方から企画のご提案をいただきます。しかし、そのほとんどは、自己満足的な企画内容ばかりです。

しかしながら、ベストセラー著者は違いました。本来、編集者が知っておかなければならないマーケットや類似書の内容チェックなど、ご自身で勉強した上で、しっかりした裏づけをとってから企画を提案するようです。

これでは、「編集者なんていらないんじゃない」なんて言われても仕方がないほど、常にアンテナを張って勉強されています。『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社新書)にも同じようなことが書かれています。

3つめは、プライベート=仕事。人気著者の仲間入りを果たしたのだから、各方面から引っ張りダコになり、「プライベートどころじゃない」なんてイメージしがちですが、ベストセラー著者は、仕事もプライベートの一部にしてしまうのです。

例えば、移動時間で読書をして気分転換をしたり、講演会などの出張先で美味しいものを食べる、私のように取材をじて知り合う人との会話など、人それぞれですが、上手にオンとオフを切り替えて、日常を過ごしているようです。

要するに、体を休めたり、ガス抜きはするけど、頭は常に働かせているといった感じです。それと、何よりも「楽しく」仕事をしているように感じ取れました。

出版物に限らず、ヒット作を出すことは容易ではなく、夢でもあります。その夢をあきらめない限り、その可能性は誰しもがもっているのではないでしょうか。