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NEWS-e:2008年5月9日号

 
2008年5月9日号

“進歩”を考え直す

ゴールデンウィークもあっという間でした。ちょうど『アイム・ノット・ゼア』という映画が公開されていたので、観にいってきました。

これは今年67歳になるボブ・ディランをモデルにした映画。リチャード・ギアほか 6人の俳優たちが、時代を追ってディランを演じています。女優のケイト・ブランシェットもディランを演じ、そこが見どころにもなっています。ヴェネチア国際映画祭では、主演女優賞・審査委員特別賞を受賞しているので、ご興味のある方はぜひ。

話は変わって、このあいだ読み終えた本「日本の行く道」(橋本治 著)の話です。
これは、著者が集英社新書で出すビジネス書の4冊目。シリーズはどれも売れている様子で、数年前には「上司は思いつきでものを言う」がベストセラーとなっています。 4冊どれも面白いですが、なかでも最新の本書がダントツにおもしろい!と思っています。

「今の日本はどこかおかしい」という不安や不信に対する途方もない原因を探っていく過程で、教育問題、地球温暖化、産業革命、江戸時代からの歴史、政治家、経済など、出てくる話は広範です。広範であるがゆえに、まわりくどく、ややこしい本になっていますが、橋本氏の他の著書と同様、その思考、切り口が魅力でもあります。

問題解決のための結論は、「産業革命前に戻せばいい」「江戸時代に戻せばいい」 「1960年代前半に戻せばいい」「国際競争力の観点から超高層ビルをなくす」など、いっけん荒唐無稽で、突飛なものばかりですが、変に説得力があり、考えさせられる内容となっています。

著者自身も「1960年代前半に戻す」は極端で、めちゃくちゃだと処理されてもいいと言っています。でもその中にひとつだけ真実があり、それは人類にとって惰性となってしまった“進歩”を、もう一度考え直すべきだ、というくだりは、感動的でさえありました。