NEWS-e:2008年2月15日号
インターナルコントロール
出版企画の丑丸です。
近頃、いい大人が深々と頭を下げている光景を目にしない日はありません。企業の不祥事が多発するのは、それを一切許さないという政府の姿勢の表れでもあります。公益通報者保護法が施行されたことはその証でしょう。
ですが、政府は企業の不祥事を暴こうとしているだけではありません。一昨年施行された新会社法と、今年4月に施行される日本版SOX法が、不正を抑制しています。J-SOX法は、正確にいうと金融商品取引法の一部分です。不正な財務情報により、株主が不利益を被らないようにするための法律。私鉄のS社や繊維のK社のような粉飾決算をしなさんな、したら監理ポスト行きだぞ!というものです。
一般社員には無縁に思えますが、当該法律は有価証券報告書以外に、情報の適正を確保する体制を評価する内部統制報告書を内閣総理大臣に提出することを要求しています。つまり社員が不正を働いたり、それを隠蔽できない体制を作りなさいというものですね。
この法律を考えた人はきっと性悪説に立っているのでしょう。とはいえ不祥事を抑制し、社員の身の潔白を証明する内部統制は、株主にとっては投資のための格好の材料。つまり企業価値を高めてくれる存在です。
しかし企業は上場廃止という伝家の宝刀におびえ、コンサルタントに言われるがままに、過剰な統制を行っているのが現状で、
「毎日会社に監視されているようだ」
「手続きを報告する文書が手間だ」
などの悲鳴が聞こえてきます。管理者が毎朝6時に出勤して、部下のメールをチェックする、笑えない状況に陥っている会社もあるようです。
この事態は、内部統制が企業価値を高めるという事実を知らずに、コンサルタントのアドバイスのままに「やらされ感」から抜け出せずにいるからなのです。本当の意味での内部統制を解説した唯一の書籍が、J-SOX法施行直前に弊社から発刊される予定なので、やらされ感でいっぱいの皆様には是非ご一読ください。
ただし、私自身は内部統制ができておらず、プチメタボリックに拍車がかかっていることをご報告しておきます。