書籍の説明
いまや世界企業となった、京セラ。その創業者である稲盛和夫の経営哲学はいかにして形成されていったのか。
臆病者と呼ばれ、小学校に行くにも泣き喚いていた鹿児島での子ども時代。そこからガキ大将となったものの、受験に失敗し、結核に生死の境をさ迷った少年時代。その後も挫折を味わいながらも、その度ごとに恩師と出会い、自分の哲学を形成していき、27歳にして、会社を興す。それが今の京セラの原点である。
しかし、そこからも、労働組合の結成、海外進出、会社の急激な拡大と環境は激変してゆく。そんないかなる時も社員とひたすら話をするなかで解決をはかり、今日の京セラを形つくっていったのである。
本書は少年時代から20歳代、30歳代そして40歳代までに亘る稲盛和夫の言動、悩み、苦難突破の日々が克明に描かれており、経営書であると同時に人生テキストでもある。
目次
- 1部 臆病者が溝を飛び越えた
- 泣き虫の章
- 「泣こかい飛ぼかい」
- 焼酎ずきのじいさんは大八車でキャンデー売り
- 天井に潮干狩を見る“三時間泣き”
- 甲突川のシモクロはエチオピアと呼ばれた
- 内弁慶がお山の大将になった
- 病いと心の章
- 「勇敢は男子第一の美徳、懦弱は男子第一の悪徳」
- 中学受験の失敗と結核体験
- 「ナンマンマンマンアリガトウ」
- 焼跡の章
- 空襲・疎開・敗戦
- 塩たきと物々交換の日々
- 野球少年が紙袋を売る“螢雪派”へ
- 「これでは将来見込みないなァ」
- 出郷の章
- 阪大の受験失敗、鹿大へ
- 母の結核と斎藤先生
- 就職試験の失敗、松風工業へ
- 松風の章
- 「君にはフィロソフィーがある」
- 「私は君に惚れたから」
- 2部 男どもが疾駆する
- 宿命の章
- がらんどうの工場で
- 稲盛の出張“土産”
- 選びとった“宿命
- 無借金経営の原点
- 営業の悪戦苦闘
- 反稲盛の“乱”
- 惚れてしまえば…
- 西枝一江の“帝王”教育
- 最初の渡米
- 最初の工場建設
- 流動の章
- “感謝報恩”の具体化
- “屁のような”ことばかり言う
- 東京営業所の乱
- 稲盛、社長に就任
- 脇目もふらぬガンバリズム
- 京セラ・インターナショナルの設立
- “水は清きふるさと”
- 賭けと変身の章
- 労働組合の誕生
- LSIパッケージへの賭け
- 初の減収減益の中で
- 二部上場―草競馬から中央競馬へ
- “スバルからセンチュリーへ”君子豹変す
- 戒めの章
- 新社屋の竣工
- ホンコン旅行
- 相良竜介と中村秀一郎
- 新たな屈折点
- 石油ショックと社員の“おごり”
- 西枝一江の死
- 内野先生の死
- 危機の章
- パターンのない時代
- 余剰人員問題
- 新製品群の展開
- 賃上げ凍結の提唱
- 社員の反応
- 世界一流への道
- ADR発行
- 狂の章
- 枠からはずれている
- 頭をぶつけてジグザグで
- 契約関係だけではなく
- 「企業に入ったとは思わない」
- 社員の稲盛像
- 「若いくせに枯れたことを言う」
- 夢の章
- 共同体を求めて
- “袖にしない”思想
- コンパの席上で
- 潜在意識論の展開
- 夢の始まりと終わり